先の見えない世の中になってきたことから、安定志向・大企業志向の人たちが増えていると聞くことがあります。
周りが変化しているならば、自分も変わり続けないと生き残れないと思うのですが、なぜ変化を嫌い、安定を好むのかを考えてみたいと思います。

変化を嫌う最たる理由は「新しいことをして失敗したくない」というリスクテイクからの回避だと思います。
実際に、新しいことにチャレンジして失敗する可能性はどのぐらいあるのか、一つの指標になると思い、企業設立後の存続データを見てみたいと思います。

国税庁などのデータだと、設立5年で約85%の企業が消え、10年以上存続出来る企業は6.3%、設立20年続く会社は0.3%。
参照:http://d.hatena.ne.jp/yuri_donovic/20120507/1336408991

中小企業白書のデータだと10年後には約3割の企業が、20年後には約5割の企業が退出。
参照:http://bit.ly/KJXUzl

日本経済新聞が1996年に新設法人8万社の行方を調査したところ、存続率は1年後で60%、3年後で38%、5年後で15%、10年後で5%。

中小企業白書のデータだけ極端に数字が異なるので、正確な数字は分からないです。
ただ、あくまで私見ですが、実務上の経験則でも、町の飲食店や洋服屋などを見ても、10年続く会社が5〜6%しかないという国税庁や日経新聞の調査はにわかに信じがたいです。

一方で、こちらも私見ですが、10年続く会社が70%という中小企業白書のデータには、さすがに懐疑的です。
中小企業白書には、2006〜2009年の企業単位の業種別開廃業率(年平均)が算出されていますが、開業率が2.0%、廃業率が6.2%です。

仮にビジネス上の成功を「10年以上事業を継続すること」と定義付けた時、失敗する確率のほうが圧倒的に高いと推察されます。
あくまで概算ですが、新しいことにチャレンジした場合、成功する確率よりも、失敗する確率のほうが5倍〜10倍ほど高いと言えるかもしれません。

また、これは物の本に書いてあった内容に過ぎませんが、心理学上、人間は「既に手に入れたもの」には価値を置きませんが、「失ったもの」に価値を置く傾向があります。
実際、10万円のインセンティブボーナスを得た時の喜びと、10万円の現金を落としてしまったインパクトを比較すると、後者の方がはるかに大きいと思います。また、恋愛をはじめとした昔の思い出が美化されるのも近い心理状態が働いているからだと思います。
「得る」喜びよりも、「失う」悲しみの方が大きいのであれば、失わないような行動を取ることは合理的といえるかもしれません。

このように確率的にも、心理的にも、チャレンジしない事のほうが合理的となると、安定志向は合理的な行動特性と言えるかもしれません。

仮に「成功確率<失敗確率が10倍」「成功による心理的歓喜<失敗による心理的打撃が2倍」とした場合、「何もチャレンジしない<成功時メリット」が20倍以上でないと、なかなかチャレンジしたいと思うモチベーションが上がらないかもしれません。
たとえばサラリーマンの平均年収が412万円(参照:http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm)とすると、起業する際には、年収で8000万円ぐらい継続して獲得できる見込みが見えないと、ソロバンに合わないかもしれません。

上記はあくまで仮説を交えた内容ですし、お金だけではなく、チャレンジ自体が価値であることは往々にあります。

ただ、チャレンジしない風潮を「ゆとり世代」「草食人種」などと簡単にレッテル張りして終わらせるのではなく、チャレンジすることにモチベーションがわくように、失敗に対してのセーフティーネットや成功者へのインセンティブ設計などが整備されないと、「チャレンジしないことが合理的」という風潮は続いてしまうと思います。

2012.05.11 Fri l 業務にて l コメント (0) トラックバック (0) l top
昨年の震災で政府やマスコミへの信頼が深く揺らぎ、Panasonic、SONY、シャープなどの電機メーカー各社が大幅な赤字に転落しました。
今の日本は、「何を信じて良いのか分からない」「未来に希望を持つことが難しい」といった状況になっているかもしれません。

そのような中、転職市場においては、「安定した大企業」志向と「個人のスキルを上げていけるベンチャー企業」志向が分かれているように思います。
前者は「組織に守って欲しい」という考え、後者は「自分で自分の身を守る」という考えの色が濃いと思います。
もちろん全員が全員そうではないですし、例えば大企業を「大企業だからこそ出来る大きな仕事に魅力」と考えている人も多いと思います。
ただ、実際に色々な方々と話をした印象や、憧れの職業一位が「公務員」というアンケート結果などを見ても、大企業志向の方は「組織の力で荒波から身を守って欲しい」という心理を感じます。

これだけ色々な信頼が揺らいでいる現状だと、大企業に魅力を感じることも理解は出来ます。
ただ、本当に大企業は安定しているのかといえば、前出の電機メーカーの話ではないですが、盤石とは言えない世の中です。
個人的には、大企業は「海外でも勝っている本当に強い会社」「日本の官公庁や大企業などの『繋がり』で食べている会社」「内情は厳しい会社」に分かれていると思います。

海外でも勝っている会社は、入ることも、入社後に活躍することも並大抵のことではないです。
まさに世界でも勝てる個人ではないと、不幸な状況になってしまいますし、「組織に守ってもらいたい」と考えている方が入って、活躍するのは難しいです。
今の時代に世界で勝てる会社を作っている経営陣が、社員にどれだけの厳しさを求めているかを考えると、「安定した大企業」と言える会社ではないと思います。

続いて、繋がりで食べている会社は当面は安泰かもしれません。
昔からの商慣習や人の繋がりで受発注が行われています。
ただ、日本の至る所で余裕がなくなっているので、10年、20年のスパンになるかもしれませんが、徐々に厳しくなっていくと思います。
そのスパンでゆっくりと厳しくなると、今の20代、30代の方が40代以降になった再就職が厳しくなったタイミングで、会社が潰れたり、リストラするようになる可能性もあります。
このような企業では本質的なビジネス経験を積むことは難しいので、それで40代以降に組織から出されても、再就職はなかなか厳しいと思います。

最後に、内情が厳しい会社は、よほど具体的なアウトプットイメージが持てる場合を除いて、入社するべきではないです。
業績の悪い会社は社風が悪かったり、本質的でない社内政治が横行します。

長々と書き連ねましたが、結局、大企業に入るとしても、海外でも勝っている本当に強い会社以外は、あまりお勧め出来ず、また、そのような会社で活躍することは、安定を目的にするような方ではなかなか難しいです。

一方で、ベンチャー企業といえども、すべてのベンチャー企業に成長機会が存在する訳ではないです。
食べていくために、地道な仕事をやり続ける会社はざらにありますし、組織に体力がないので、新しいチャレンジがやりづらい会社も多いです。
そのような環境がスキルアップを保証してくれるわけではないです。
「存在する」という訳で力がつくわけではなく、「アウトプットを出す」ことで、初めて個人として生き抜く力が身につくのだと思います。

結局は、大企業志向であっても、ベンチャー企業志向であっても、「ハングリーにアウトプットを追求する」といった要素が求められているのは変わらないと思います。
「安定したいから大企業」や「個人の力を試したいからベンチャー企業」ではなく、まずは「アウトプットの追求」を基本姿勢を持つことがスタートだと思います。
その上で、組織の成長ステージを、自分との相性で決めていくと良いと思います。

2012.04.13 Fri l 業務にて l コメント (0) トラックバック (0) l top
4月になり、新年度を迎えました。
自社のメンバーが増える訳ではないので、節目を迎えた感覚は強くないですが、それでも新入社員と覚しき方々のスーツ姿を見ると、年度が替わった実感が湧きます。
また、毎年、4月に転職をして頂く方々は多く、その手続きの中で新年度を実感します。

個人的には、年度が替わっても、粛々といつも通りの仕事をしていくタイプなので、特に意思表明などもないのですが、引き続き、候補者側の方々と企業側のニーズを良い形で繋いでいければと思います。

特に最近では、ますますスピードが速くなっているので、どうしても短期的な視点や浅いロジックに目が行きがちになりますが、出来るだけ中長期かつ本質的な仕事が出来るように心掛けていきたいと思います。

2012.04.02 Mon l ご挨拶 l コメント (0) トラックバック (0) l top
転職を検討する時に、「周りの人の声」や「市場価値」などの相対的な比較で、タイミングを計っている人も少なくないです。
「周りが幾らで転職したから、自分も」「現在、売り手市場なので良い時期」など。
たしかに需給バランスを見極めるのは重要なことです。
一方で、判断軸を外部に置く事となり、本質的な判断が出来なくなる可能性もあります。
周りやマーケットは検討材料にはなると思いますが、自分の軸で判断を進めたほうが中長期的に納得度が高いと思います。

個人的には、
・やりたい仕事が出来て、成果が出せそうか
・時間・お金などの資源を自分でコントロール出来るか
・近い人間と有効な関係が築けるか
がポイントになると思います。

全てを満たすことは出来ないかもしれませんし、状況も常に変化をしますが、「成果・裁量・相性」の3点を、自分の感覚で見定めることが納得度の高い転職をするには重要だと思います。

2012.03.16 Fri l 業務にて l コメント (0) トラックバック (0) l top
先ほどまで宮城県にいました。
1年という節目ということもあり、仙台、石巻、南三陸、気仙沼などを回ってみました。
都市部はそれほど変化がなかったように見えましたが、海沿いは別世界でした。
人の手が加えられて、整然とした所が多かったですが、何とも言えない光景が広がっていました。

たかだか数日滞在したぐらいですが、考えることは多かったです。
改めて犠牲になられました方々に謹んで哀悼の意を捧げます。

2012.03.11 Sun l 未分類 l コメント (0) トラックバック (0) l top